コラム

手術や抗がん剤をしないという選択

病院に勤務していると、様々な病気を診る機会があります。

中でも、腫瘍は最も飼い主さんを困らせる病気の一つだと思います。

 

手術、抗がん剤、放射線。

 

腫瘍は基本的に高齢になってからできることが多く、そのため麻酔のリスクも高くなり、飼い主さんたちを悩ませる要因でもあります。

 

そして、場合によっては手術で摘出がかなり厳しかったり、危険度が高い場合も少なくはありません。

 

また、抗がん剤は体の負担が大きく、つらい戦いになることが多いです。腫瘍ももとをたどれば自分の細胞…それをたたくということは自分の健康な細胞たちにも負担は大きくなります。

 

放射線も毎回麻酔をかけたり、大学病院にいかないといけなかったり、高額の治療になったりと、効くのはわかっていても、いろいろな事情で選択できなかったりします。

 

 

現代は医療が進み、治療法の選択肢も増えました。色々なアプローチができるのはいいことだと思います。

でも、飼い主さんたちは、迷います。

 

『この子にとって、何が一番ベストなんだろう?』

『どうすれば助かる?』

『辛い闘病生活を強いるのが、この子にとって本当に良いことなんだろうか?』

 

悩みに悩んで出した結論。それは本当に尊いものだと私は思います。

 

でも、決めた後も飼い主さんたちは、常に迷います。

 

『これで正しかったのかな…』

 

 

手術をしない、化学療法を選択しないという選択をされる時、本当に申し訳なさそうにお話される方が多いです。

そんな時、ひとつお話しておきたいのは、

“手術をしない=治療をあきらめる”ではないよ、ということです。

 

 

私は、病気と共に生きる道もありだと思います。

 

病も体の一部。一緒に生きてもいいじゃない。

体に病気があっても、その子が楽しく穏やかに過ごせるようにしてあげることが大切ではないでしょうか。

悪いものは取ることばかり考えがちですが、そんな病気との付き合い方もありだと思います。

 

それができる、東洋医学という選択肢もぜひ考えてみてください。

 

 

もちろん、抗がん剤や手術をするのが第一選択で、場合によってはそれしかないこともあります。

人間の場合、自分で覚悟をもってその選択をし、治療を開始することができます。その意思があるから乗り切れるという部分があるのではないでしょうか。

 

 

でも、動物たちは?

 

彼らにしてみたら、覚悟をもって始められるというわけではないでしょう。だからこそ、気持ちを和らげる治療も必要なのです。

 

 

手術をしないという選択肢を、もっと自信をもって決められるように。

明るい気持ちで選択できるように。

自分の選択に罪悪感を持たないように。

 

そして、手術や抗がん剤をした後も、動物たちをリラックスして、安心させられるように。

 

 

癒す医療は、そんな飼い主さんたちを支えたいと思っています。

 

 

こんな言葉があります。

 

痛くて苦しいままでの安らかさ

 

 

正解なんてない。

 

一緒に、“選んだこと”を正解にしていきましょう(*^-^*)

 

 

 

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