みなさん、お久しぶりです。
今日は、最近鍼灸を始めた症例のお話をしたいと思います。
今回ご紹介するのは、14歳オス猫(去勢済み)の、おとなしくて、とってもかわいい猫ちゃんです。
もくじ
おしっこが出ない!
症例の猫ちゃんは、1日半、排尿がないとの主訴で来院されました。
問診をしていくと、「ここ1か月ほど、排尿が1日1回しかなくて、一度に大量に出ていた」とのこと。
検査の結果から、馬尾症候群による下位運動ニューロン障害性膀胱機能障害と診断しました。
つまり、
「腰仙部の脊髄神経の障害により、膀胱が緩んで収縮できなくなっちゃった」という状態です。
おしっこを出したいとも思わないので、平気で1日とか排尿がないわけです。
この猫ちゃんは、尿カテーテルを留置したうえで、数日入院管理しました。
これ以上膀胱がパンパンの状態が続くと、膀胱の上皮が障害を受けて、不可逆的に収縮できなくなってしまうからです。
それと同時に、膀胱を収縮させるお薬の内服治療も開始しました。
そして…数日後、自力での排尿が確認できるようになったので、無事に退院しました!
果たして、内服の治療だけでコントロールができるのか…不安な所ではあります。
そこで、鍼灸の出番です。
排尿障害には、鍼灸治療も効果的であるため、入院中から、鍼灸と漢方による治療の併用も開始しました。
鍼灸治療で根本原因にアプローチ
中医学的には、このような排尿困難の症状を「癃閉(りゅうへい)」と言います。
高齢などで、腎気が傷つけられ(腎虚)、命門の火が衰え、膀胱の気が低下して癃閉が起こることが多いです。
そう、つまり、膀胱を収縮させるために、腎臓の力をつけてあげることが大事なのです。
腎臓と膀胱は表裏の関係にあり、腎気を補うことが、膀胱の気を補うことにつながります。
ということで、鍼灸漢方治療では次の点を意識ています。
- 腎気を足すこと
- 腎臓と膀胱の気巡りをよくすること
気を足すのにはお灸が最高!ゆっくりじんわりお灸をしてあげることで、だいぶリラックスしてくれます。
初めのうちは、処置台で緊張していた猫ちゃんも、3回目くらいの処置では、慣れて来たのか、動かず気持ちよさそうにお灸をさせてくれました。
鍼を刺すツボも腎気を動かしたり、排尿に効くツボを、何か所か選んでいきます。
中極、会陰、承山といったツボを使うことが多いです。
猫ちゃんは、特に敏感だったり、体勢を変えるのが難しかったりするので、できるだけ無理のない範囲で、施術をしていくことが大切です。
漢方は、関節にも腎臓にも効く牛車腎気丸を選択しました!
鍼灸漢方の効果やいかに!?
鍼灸治療を週1回で初めて3回目…
排尿は出来ていますが、まだまだ回数が足らないところ(;_;)
正直、もう少し効果を出したいなと思っています。
頑張れ腎気!!
飼い主さんも、中医学の処置を前向きに捉えてくださっているので、今後も継続して、どんどんおしっこ出せるように一緒に頑張っていきたいと思います!
また経過は報告させてください♪
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